商標登録とは?全体像と進め方

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商標登録とは

商標登録に関するトラブルは年々増える一方です。

Apple社も苦労している商標登録の事例

  • Apple社は「iPad」のネーミングの権利を買い取るために中国の企業に約48億円支払った
  • Apple社は「iWatch」というネーミングから、「AppleWatch」に急に変更(商標登録が理由と予想されています)

これは、大企業だから起こることではなく、事業を行う者全てに関係することです。なぜなら、商品やサービスには必ずネーミングなどの商標を使うからです。

商標登録は、商品・サービスの目印となる商標を登録することをいいます。それにより、他社に模倣をやめさせたり、他社から訴えられることを防ぎます。

ここでは、商標登録に関する全体像を理解することができ、その進め方がわかります。是非、参考にしてください。

 

1.商標登録とは

 

1-1.商標登録とは

商標登録とは、商品名やサービス名などの商標を特許庁に登録することをいいます。それにより、日本国内でその商品名などを独占することができます。

しかし、これだけでは、いまいちピンとこないと思います。商標登録を理解するには、ビジネスと模倣の関係を理解することが近道です。

 

1-2.商品は模倣される

売上を上げるためのマーケティング手法の一つに模倣があります。画期的な商品を発売すればそれを模倣した二番手、三番手がすぐに現れます。

模倣の対象となるのは技術、デザイン、サービスなど多岐にわたりますが、模倣において最も効果的なものはネーミングをマネすることです。

 

1-3.お客様はネーミングを目印にする

例えば、「シャネル」や「ルイ・ヴィトン」と書かれたバッグがあれば、当然「これはシャネルのバッグだな」「ルイ・ヴィトンのバッグだな」と思います。しかし、ネーミングは同じでも実はニセモノで品質が低いバッグということもあります。

ネーミングを模倣されれば、それを目印としているお客様にはどちらが本物なのか見分けがつきにくくなります

 

1-4.ネーミングを保護しないと収益が悪化し、ブランドに傷が付く

そうした模倣犯を放置していると、売上の多くが食われてしまい収益が悪化します。また、模倣品の質の悪さが評判になり、ブランドに傷が付いていきます。ブランドの悪化は、正規品にまで飛び火し、正規品自体の売上も落ちていきます。

ネーミングを適切に保護しないと収益が悪化し、ブランドに傷が付くことになります。

 

1-5.商標とは商品などの目印のこと

目印

こうした商品やサービスの目印となるものを商標といいます。この商標があることによって、お客様は目当ての商品やサービスを選択することができます。

 

 

なお、wikipediaでは、以下の様に紹介されています。

商標(しょうひょう)とは、商品を購入し、あるいは役務(サービス)の提供を受ける需要者が、その商品や役務の出所(誰が提供しているか)を認識可能とするために使用される標識(文字、図形、記号、立体的形状など)をいい、商品の販売に際しては商品または商品の包装、役務の提供に際しては、役務の提供に使用される物や電磁的方法により行う映像面に付して使用する。需要者は、標章を知覚することによって商品や役務の出所を認識し、購入したい商品、または提供を受けたい役務を選択することができる。

商標にはネーミングの他にも、ロゴ、音、色など様々な態様がありますが、ここではややこしいので、ネーミングにしぼって考えます。

ネーミングの商標の例

  • 商品名
  • サービス名
  • 会社名
  • 店舗名
  • ブランド名
  • サイト名
  • アプリ名
  • 団体名
  • イベント名

ネーミングの種類だけでも上記のように多岐にわたります。

 

1-6.商標登録とは商品名などを特許庁に登録すること

商標登録とは、商品名やサービス名などの商標を特許庁に登録することをいいます。商標登録をすれば、日本国内でその商品名などを独占することができる商標権を得ることができます

商標権に2つの強力な権利が認められています。

  • 商標使うのをやめろという権利:差止請求権
  • 商標を使った分の金を払えという権利:損害賠償請求権

この商標権を活用することにより、他社の模倣をやめさせたり、けん制したりすることができます。

あなたが商標権を得た場合は、それが法律の一部となりますので、国家権力があなたの味方になります。もし侵害行為があったときは、裁判所、税関、警察など様々な組織が関わることになります。

 

1-7.商標登録されているもの

商標登録がされているものの例を見てみましょう。今回はApple社とスターバックス社を例にしています。

1-7-1.Apple編

iCloud

(第5498440号)

クラウドサービスの名称に使われています。

Siri

(第5648955号)

音声認識サービスの名称です。Siriもちゃんと登録されています。

apple

(第5714458号)

会社ロゴも登録しています。このロゴはApple社の商品のほとんどについている重要なロゴです。

1-7-2.スターバックス編

starbucks coffee

(第5232549号)

 

starbucks-logo1

(第5232548号)

こちらも有名なロゴですね。文字とロゴを組み合わせた態様で商標登録をしています。

 

starbucks-logo2

(第5737384号)

こちらはスターバックスの看板などに使われています。文字がなくてもスターバックスだとわかりますね。

 

このように各社ネーミングやロゴを様々な態様で登録しています。

 

2.商標登録がされる最大の理由

商標登録をする理由は模倣を防ぐためだけではありません。最大の理由は他社から侵害行為だと訴えられないことです。

自分が登録している商標であれば、他人から訴えられる心配はありません。

そのため、多くの企業が安心して事業をするために商標登録をしているのです。

また、商標登録をしないで、事業を続けることは、下記のような非常に危険な行為といえます。

  • 保険を掛けずに自動車を運転する
  • ヘルメットをせずにバイクを運転する
  • カギをかけずに家を出る

ただ、そのリスクが現れないうちは、「商標登録なんかしなくていいよ」「誰もそんなことまでしてないよ」という考えになりがちです。

特に、事業が拡大していけばしていくほど、商標登録をしないことのリスクが増えます。

大手企業と取引する場合には、取引先がちゃんと商標登録しているかどうかを一つのポイントにしている企業もあります。

その理由としては、損害賠償請求はメーカーだけでなく、そのメーカーから製品を仕入れている販売者にも及ぶことがあるからです。その商品・サービスに関わる関係者が多くなると自分一人の問題ではなくなりますので、権利関係には非常にシビアになってきます。

2-1.商標登録をしないでいると・・・

もし、新しい商品を販売する直前に、他社の商標登録が見つかった場合は、どうなるのでしょうか?

商品名、パッケージ、チラシ、ホームページなどを変更しなければならず、多くの費用と時間を費やすことになります。

また、知識がないことを露呈するために、会社の信用も落ちますし、何より愛着出てきたネーミングを使うことができずに悔しい思いをするはずです。

 

このように、商標登録をする最大の理由は、他社から訴えられないようにし、事業を安定的に継続させることだといえます。

 

3.商標登録の特徴

それでは、商標登録の特徴を見ていきましょう。下記のような特徴があります。

  • 早い者勝ち
  • 似ている商標は登録できない
  • 「商標」×「商品・サービス」で権利範囲が決まる
  • 「商品・サービス」は、カテゴリー分けされている
  • 権利は取り消されることがある

 

3-1.早い者勝ち

商標登録は、先に使っていた人ではなく、先に特許庁に出願した人に権利が与えられます

自分が商標を先に使っていたとしても、他人が先に出願してまった場合は、権利を主張できることはほとんどありません。特許庁に先に使っていたと訴えても、「では、なぜ商標登録をしていなかったの?」とお決まり文句を言われることでしょう。後から使い始めた人に権利を取られて、泣く泣く自分が商標を変更しないといけなくなる事例がよくあります。

そのため、商標を決めたらできるだけ早く出願が基本です。

ホームページのドメインも基本的に早い者勝ちになっていますが、その感覚と同じです。欲しければ、まず押さえる。これが商標登録を行う上で重要な決まり事です。

 

3-2.似ている商標は登録できない

既に登録している商標と全く同じ商標は登録できませんが、似ている商標も登録できません。(ただし、商品が似ている場合前提です。)

例えば、特許庁は以下のものは似ていると例示しています。

  • 「アトミン」と「アタミン」
  • 「サンシール」と「サンジール」
  • 「スーパーライオン」と「ライオン」

いかがでしょうか?なぜこれらが似ていると判断したのかは下記に詳しく書いています。ご興味がある方は読んでみてください。

特許庁の商標審査基準(似ているかどうかの判断)

 

商標登録の判断

この似ているという感覚は、あいまいで非常にやっかいなものです。グレーゾーンの判断は、時代と共に変わることもありますし、審査する人によっても変わります。

これは、野球の審判がストライクゾーンを判定する感覚と似ています。

「えー!?それでストライク!?」

「えー!?それで商標が似ていることになるの!?」

この判断は、専門家でも意見が分かれることもあり、過去の事例や実際の言葉の使われ方などを考慮して結論を出すことになります。

 

 

3-3.「商標」×「商品・サービス」で権利範囲が決まる

「商標」が同一または似ていても登録できることがあります。

それは登録しようとする「商品・サービス」が似ていない場合です。実は、商標登録をする場合には、「商標」を決めるだけでなく、それをどのような「商品・サービス」に使うかを指定してあげなけれななりません

つまり、「商標」×「商品・サービス」で権利範囲が決まります。

そのため、商品が似ていなければ、同じネーミングでも登録できることになるのです。似ている商標が見つかっても、商品やサービスが似ていないのでセーフということは結構あります。

 

3-4.「商品・サービス」は、カテゴリー分けされている

「商品・サービス」はわかりやすいようにカテゴリー分けされています。

このカテゴリーのことを専門用語で「区分」といいます。区分は、商標登録をする上で最も重要になる言葉の一つです。

区分は1類〜45類まであり、商品・サービスは必ずどこかに属しています。この区分の多さによって、商標登録の費用が異なってきます。下記に例を見てみましょう。

 

IT関係

  • 9類:ダウンロードできるアプリ
  • 35類:広告サービス、マーケティングサービス
  • 42類:ウェブサービス、受託システム開発

アパレル関係

  • 25類:洋服、靴
  • 18類:かばん、財布
  • 14類:アクセサリー、時計

小売関係

  • 35類:小売サービス(セレクトショップやAmazon輸入販売など)

 

 

3-5.商標権の権利の期間

商標登録すれば、その権利はいつまで有効なのでしょうか。

商標権は、登録日から10年間有効です。しかし、そこまで権利期間はいらないから安くして欲しいという人のために5年間を選ぶこともできます

権利の期間が満了した場合は、その後、更新という手続きができます。更新すれば、さらに10年間または5年間権利が続きます。それを繰り返していけば半永久的に権利を持ち続けることができます。

 

そのため、1910年登録と約100年前!?の権利も続いていることがあります。

約100年前の商標登録

(第507号)

1910年に登録された商標。マッチの権利です。まだ権利が続いています!

 

3-6.権利は取り消されることがある

商標は登録になっても、取り消されることがあります。

様々な理由で取り消されることがあるのですが、その中でもよく利用される制度があります。それは、商標を使用していないという理由で取り消される制度、不使用取消審判です。

この制度は、自分が取りたい商標が既に他者に取られているときに、相手の権利をつぶすために利用されます。そのため、登録になったあとも商標を使用することが重要になります。

 

番外編:商標登録と特許の違い

商標登録と特許は何となく似ている気がしますが、いくつか違いがあります。その違いを見ていきましょう。

何を守るもの?

  • 特許:技術を守る
  • 商標登録:ネーミングやロゴなどの商標を守る

権利期間は?

  • 特許:出願日から20年
  • 商標登録:登録日から10年。しかし、更新できるので半永久的に権利を維持できる。

既に公開されている場合は?

  • 特許:原則、権利を取得できない
  • 商標登録:原則、権利を取得できる

誰に権利があるの?

  • 特許:原則、先に出願した人
  • 商標:原則、先に出願した人

 

 

4.商標登録の手順

続いて商標登録をするまでの手順を紹介します。商標登録をするまでには、4つのステップがあります。

調査→出願→審査→登録

事前調査をして、特許庁に書類を提出します。特許庁が審査して、審査に合格すると、権利を得るために登録をします。

もう少し詳しく見ていきましょう。

 

4-1.調査【ステップ1】

通常は、出願をする前に事前調査を行います。

調査を行わずに出願すると、審査に不合格になる可能性が高くなるからです。出願した印紙代が無駄になるだけでなく、急な商標変更をしなければならないこともあります。

調査のポイントは2つです。

4-1-1.似たような商標は登録されていないか?

既に登録されている商標と似たような商標は登録できません。

例えば、「トレル」が登録されている場合、「トレルー」は似たような商標と判断された場合、登録できません。

これは、特許庁の商標検索サイトで調べることができます。

特許庁商標検索サイト

j-platpat

上記のサイトで全く同じネーミングが見つかった場合は、アウトでしょうか?

まだ諦めないで下さい。商標権は、「商標」と「商品・サービス」が2つセットで1つの権利のため、どちらか片方が似ていなければセーフです。そのため、商品・サービス(役務)の欄に自分と同業種のものがなければ、権利を取れる可能性は残されます。

 

4-1-2.希望する名称に特徴があるかどうか

また、一般的な名称(普通名称)など特徴がない名称は登録できません。

例えば、商品『りんご』に『アップル』という商標は特徴がないとみなされます。

しかし、商品『パソコン』に『アップル』ですと、パソコンにアップルという名称は一般的ではないので、特徴があるとみなされます。

 

この他にも条件があるのですが、基本的には、この2点を押さえていれば大丈夫です。

 

4-2.出願【ステップ2】

所定の書式に沿って書類を作成し、出願します。多くの場合は、弁理士に依頼して出願してもらうことになります。

ここで見ておくべきは、「商標」と「区分」、「指定商品・指定役務(えきむ)」の3点です。

区分とは、商品やサービスのカテゴリのことです。この区分の数によって商標登録にかかる費用が決まります。

指定商品・指定役務(えきむ)とは、どの商品やサービスの権利を取るか指定したものです。ここが権利範囲になりますので、非常に重要な項目になります。

 

4-3.審査【ステップ3】

審査官によって審査されます。審査期間は約6ヶ月です。

商標が似ている似ていないは非常に感覚的なところもあり、審査に合格するかどうかは運によって左右されることもあります。

また、審査の判断は、反論するか否かによって大きく変わります。そのため、弁理士に依頼すれば適切に反論して審査に合格させることもできます。

力のある弁理士であれば、事前調査と反論を行うことで10件出願すれば9件以上は登録させることができます。

 

4-4.登録【ステップ4】

登録とは、審査に合格したあとに、実際に権利を得る手続きのことです。正確には「登録料納付」手続きとなります。

商標権の権利期間は原則10年ですが、5年を選ぶこともできます。この登録時に5年か10年を選ぶことになります

 

※権利が満了する日に近づいたら商標権は更新することができます。更新することによって、半永久的に商標権を維持することができます。

 

5.まとめ

いかがでしょうか。商標登録は新しい商品やサービスを開始するときには、必要になります。また、正しい知識がないと不要に恐れたり、逆に大丈夫だろうと不注意により失敗することがあります。この機会にぜひチェックしてください。

 

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