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グラフィックレコーディングの描き方 実践編! ~白紙から完成までの過程、詳しく見せます

先日、「はじめてのグラレコ×知財 ~描き方のコツ、1から教えます!」という記事を書かせていただきました。ただ、描き方のコツは分かったけど、実際に描くときのイメージが沸かないという方もいらっしゃるかと思います。

今日はそんな皆様のために、グラフィックレコーディング(グラレコ)の作成過程をお見せして、どんなことを考えながらどんな順番で描いているかを説明したいと思います。

※本記事を先に読んでから「コツ記事」を見ていただく流れでも問題ありません。

今回題材として取り上げさせていただいたのは、『知財実務オンライン』で弁護士の井上拓先生が出演された「第118回 知財系YouTuberの現在地」です。井上先生が知財系You Tuberになった動機や活動のメリット、そして炎上対策について話されており、法律・知財の専門知識がなくても入り込める内容です。

(第118回)知財実務オンライン:「知財系YouTuberの現在地」(ゲスト:日比谷パーク法律事務所 パートナー弁護士 井上 拓)

動画と合わせて本記事を読んでいただくと、なお作成のイメージがつきやすいかなと思いますので、合わせて参考にしてみてください。

ゲスト紹介

はるたろう:メーカー勤務、理系院卒、元プラントエンジニア(機械系)、現在は法務部。知財の仕事をほぼしていない弁理士。副業でグラレコを描くグラフィックレコーダーをしている。

Twitterアカウント:https://twitter.com/aiharu4k

過去作品掲載用アカウント:https://twitter.com/harutaro4gr

STEP1. グラレコの対象を見て理解する

①メモをとる

まずは動画のチェックです。ここがポイントだな、ここがおもしろいなと思うところをばしばしメモしていきます。

前の記事でも書きましたが、「ここは発表者が本当に言いたい部分ではないのかもしれない」などと遠慮する必要はありません。どの部分も言いたいところなはずなので、とにかく気になるところをメモすればそれでOKです。

今回の動画ではスライドが用意されており、発表者の伝えたいことが綺麗に整理されているので、スライドに書かれていることは積極的にメモをしていきます。

②構成を考える

次にグラレコにどう描いていくか、構成を考えます。

基本は左上にタイトル、右上に似顔絵、残りのスペースに内容で、内容部分をいくつかに分けるという方法なので、迷ったらその方法を採用しましょう。

話の流れがあまり無く、ぽつぽつ話したいことを話しているスタイルの場合は真ん中にタイトルを置いて周囲にばらばら内容を描いていく方法でもOKです。

今回の場合は、

『話が綺麗に順序だって並んでいるから基本のスタイルで良さそうだ。

あれ、タイトルは「知財系YouTuberの現在地」になっているけど、本編は前半が「知財系YouTuberの現在地」になっていて、後半は「SNSにおける炎上」の話になっているな。

前半だけでグラレコを作るか?いやでも後半も相当おもしろいからこれも載せたいな…半分に区切って思い切りまとめるか。』

のようなことを考えつつ、構成を頭の中でまとめていきます。

STEP2. 下書きを描く

次に下書きを描いていきます。

下書きの要否はどちらでも構いませんが、個人的な経験からすると、下書きがあった方が「後から修正ができるからOK」という気持ちで自信を持って大胆に描けるので、結果的に早く描けるのではないかなと思っています。

①似顔絵

最初に場所の調整をしずらい似顔絵から描いていきます。

僭越ながら井上先生のご尊顔を観察させていただきまして…目はくっきり、鼻は高め、口はノーマル、服は青いYシャツに黒のジャケットですね。堂々としゃべっておられる印象から、眉毛は真ん中に向かって下がる眉毛が合いそうです。

髪の毛は見た目の特長をそのまま反映させるとして、それぞれを配置していくと…

こんな感じになりました。

その下に所属を書いて、似顔絵の下書きはできあがりです。

②タイトル

似顔絵の左側の空間にタイトルを書いていきます。

タイトルは「シリーズ名」「発表タイトル」「日付」「開催場所」のうち、書けそうなものを書いていきます。今回は「知財実務オンライン第〇〇回」「知財系YouTuberの現在地」「2022年11月10日」をチョイスしました。

左側にはアイコンを描くためのスペースを少し確保しておきます。

え?字が汚いって?大丈夫です。下書きなので。

ちなみに、文字の太さを太くすると字が綺麗に見えやすくなります。(本記事の下の方にある清書版とこちらの下書きの文字を見比べてみてください。同じ書体なのに太い方が綺麗に見えると思います。)

③内容

いよいよ内容です。まずはいくつかの区画に分けます。

今回は前半の「知財系YouTuberの現在地」パートと「SNSにおける炎上」パートで大きく内容が異なるので、大胆に半分に区切る必要がありそうです。そのため、真ん中縦一直線に線を引きました。

区画に分けたら、上から動画内容の順番に沿って描いていきます。

今回ですと、「自己紹介」「YouTuberになって良かったこと」「知財系YouTuberの海の色」という3つが動画内でトピックとして挙げられていたものの、3つを描くスペースは無さそう…ということで、1つは吹き出しにして井上先生に話してもらうスタイルにしました。

自己紹介部分は内容が濃すぎて全て網羅するのは難しそうです。そのため、知財系YouTuberの誕生に影響を強く及ぼしそうなエピソードを3点選んでアイコン化しました。

アイコンは自分の中にあるストック集から合いそうなものをぽこぽこ当てはめています。(アイコンの作例は前回記事で紹介しています。記事の最後にリンクを再掲します。)

「裁判の傍聴」だけはピンとくるイメージが無かったため、Googleの画像検索で調べて色んな画像からイメージを膨らませて作りました。

同じ作業を右半分の「SNSにおける炎上」についても行っていきます。

こちらは「炎上発生のフロー」「炎上によるダメージ」「炎上の原因となる投稿」「炎上を防ぐためにすべきこと」のいずれも描けそうだと思ったため、4つに区切ることを想定しつつ描いていきます。

どの項目も、井上先生が綺麗に箇条書きにしてくださっていて、かつ説明でイメージが膨らみやすかったので非常に描きやすいです。箇条書きの中から印象に残る部分をいくつかピックアップしてアイコン付きで描き出していきます。

④飾り付け

グラレコを描いていくと、ほとんどの場合スペースが余ると思います。

そのスペースをアイコンで埋めていきます。

今回の場合だと、タイトルの左側、右側、見出しの右側にアイコンが描けそうです。私がよく使うテクニックは、タイトルの左側はシリーズものであることを表すアイコンを、タイトルの右側はその対象の特長を、見出しの右側はその見出しが表すアイコンを描く、というものです。

今回ですと、タイトルの左側は「知財実務オンライン」を表すアイコンを、タイトルの右側は動画全体から連想されるアイコンを、見出しの右側は「現在地」を表すアイコンを描きました。

これで全体が埋まりましたね。下書き完成です!

ここまででかかった時間は45分です。

STEP3. 清書する

①黒ペンでなぞる

タイトルをプロッキー(太)の黒で、それ以外をプロッキー(細)の黒でなぞっていきます。(使用するものはプロッキー以外でもOKです。)この作業にはいくつかの注意点があります。

●字が密集している部分を先になぞること

→アナロググラフィックレコーダーの永遠の課題(だと私は思っています。)ですが、残念ながらペン先がつぶれることにより文字の太さはだんだん太くなっていきます。

そのため、細い字が書けるうちに字が密集している部分をなぞってしまった方が、全体として綺麗に見えます。

●字を滲ませないこと

→インクが乾くには少し時間が必要です。左上から順番になぞるのではなく、手でインクを滲ませないようになぞりやすい場所からなぞりましょう。

●黒ペン以外はまだ使わない

→下書きを消す前に色ペンを使ってしまいがちですが、下書きの上から色ペンを使うと、その部分だけ下書きが消せなくなります。そのため、黒ペン以外はまだ使わないようにしましょう。

こちらの画像の右下部分を見ても分かるとおり、下書きと清書でかなりズレる部分も出てきます。

清書は全体のバランスを見て調整するチャンスなので、下書きにこだわらずに描いていきましょう。

②下書きを消す

消しゴムで下書きを消していきます。ここは特に意識することは無いので、心を無にして消していきましょう。

ちなみにこの作業がアナログ派をデジタル派へと心変わりさせる大きな要因だったりします。

③色を塗る

最後に色を塗っていきます。今回は文字色:黒、装飾:黄色、重要部分:青色でいきたいと思いますので、タイトルを青色、他の箇条書き部分を黄色で線を引いていきます。

アイコンはメインの3色以外の色が使えそうな場所は積極的に使いましょう。

完成です!我が作品ながら愛おしい作品に仕上がりました。

ここまででかかった時間は1時間15分です。

まとめ ~グラレコ、描いてみませんか?

いかがでしたでしょうか?要素に分解していくと、色んなテクニックがちりばめられてはいるものの、意外と独創性は無いように見えたのではないかと思います。描くイメージは沸きましたでしょうか?

「これなら描けそう!」と思って描き始めてくださる方がいらっしゃったら嬉しいです。以前と同じむすびになり恐縮ですが、本記事を見て「グラレコを描いてみたよ!」という人は、是非Twitterなどで私、はるたろうにお声がけください。

ひとりでもグラレコにチャレンジする人が増えて、グラレコを通して知財業界が活発になることを祈っています。

<こちらも参照>

はじめてのグラレコ×知財 ~描き方のコツ、1から教えます! | Toreru Media

(第118回)知財実務オンライン:「知財系YouTuberの現在地」(ゲスト:日比谷パーク法律事務所 パートナー弁護士 井上 拓)

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